掲載作品の一覧 / 修正履歴 / ブログ /

2002年頃、不景気の中で起こった空前のパチスロブーム。そんなご時世に学校を卒業し新社会人となった若者は、もっぱら仕事帰りのパチスロに勤しんでいた――。

長編小説 / 社会ふ適合【作品設定―背景人物舞台用語etc】

1話目 | 設定 | MAP | 公開-2025/3/17

下スキップアイコン

目次(タップで各項目へ)↓
作品概要 / 登場人物 / 舞台背景 / 用語

– 作品概要と背景 –

2002年頃、ITバブルがはじけて不況だった背景と、その前から続くバブル崩壊の余波で弱っていく社会の中、この時期に学校を卒業し新社会人となった若者たちが後に就職氷河期世代と呼ばれる時代。社会が右肩下がりになるその一方で、パチスロ4号機の爆裂機(AT機)からのストック機ブームが起こり、パチンコ業界がピークを迎えようとしていた。

そんなご時世に学校を卒業し、新社会人となったごく平凡な若者であるツトムは、仕事より会社帰りのパチスロに精を出す毎日を送っていくが、上の世代の仕事第一という常識とは軋轢を生んでいく。

この頃は、旧来型の年功序列・終身雇用の価値観が崩れつつも残り、新しい成果主義的な評価指針とのチグハグさが目立った時期。それが新社会人への降りかかっているが、上の世代からすれば会社に尽くせば良い暮らしができると考え、一方で新社会人たちは子供時代にバブル崩壊を経験し、倒産やリストラといった失敗をみてきているので、会社というものに依存すれば痛い目をみると考えている。

実際に、不景気の中で雇用待遇は悪くなっており、理由をつけ減らされるボーナス、ベースアップも抑えられ、そもそも会社が定年まで存続するのか雇用が続くのか不安定な中で、労働基準法の不備をつく名ばかり役職や、精神論的なやる気や忠誠、奉仕といった都合の良い言葉で新社会人たちを鼓舞して、過度のサービス残業や、やりがい搾取などの後に問題視されるものが当たり前に横行していた。

そうした仕事としての不合理は残っているのに、その先に得られる対価が約束されてはいないのを知っている若い世代にとって、上の世代の常識や自信をおしつけられるほど不信感を強くしていく。特にこの時期は、まだ上の世代がそうした失敗と落ち目になっている現状を認められず、昭和の良い時代の成功体験の中にいるのでなおさらだった。

そんな時勢から会社に所属しないフリーランスという生き方がメディアに取り上げられはじめる。だが実際には、当時急速に流行りだした手軽な派遣業者に登録し、非正規雇用としてより不安定な生活へと若者たちが進んでいく時代でもあった。

(1999年の派遣法改正によりグッドウィルなどの派遣雇用が爆発的に広まっていた + 消費者金融、闇金の台頭、詐欺まがいのネットワークスビジネスの流行り、グレーゾーン金利是正の前のいまでいう情報弱者ビジネスが田舎の一般層にまで広がっていく)

一方で庶民の娯楽として簡単なゲームを提供していたパチンコ店の片隅にあったパチスロに革命的な変化が起こっていた。

パチンコ店の中でも、一際アングラ感の強かった小さなパチスロのコーナーだったが、3号機から4号機へ移行しその高いゲーム性が認知され始め、少しづつコーナーを拡大していく。そして、AT機という今までの機械とは一線を画し、短時間に大量のメダルを吐き出す爆裂機が現れ始めると、若者たちが押し寄せるようになる。

ついには『時速5000枚(10万円)』などいう謳い文句を掲げる機種まで登場し、仕事帰りに月の給与を上回ることも可能な台たちを目指し、多くの客たちが集まっていた。その流れは日増しに大きくなり、熱狂的なブームへと昇っていく。

堕ちていく社会の一方で、今まさに隆盛を迎えているパチンコ業界、そこで手に入る目の前にあるお金が、当時の若者の目にまぶしく確かなものに映ったのは不思議なことではなかった。

希望のない仕事や将来よりパチスロによる刹那の稼ぎに身をゆだねることを選んだ――、当時一定数いたであろう若者たちのお話。

作品の1話目→1G目:終わりの鐘

作品の全話→作品MAP

目次(タップで各項目へ)↓
作品概要 / 登場人物 / 舞台背景 / 用語

– 登場人物 –

登場人物  01
作中表記 (本名)

ツトム(伊藤 勤)


2002年に専門学校を卒業し社会人になった何の取り柄もない普通の若者。不況だと言われる中で就職するが、ちょうどパチスロにストック機が登場し始めた時期でもあり、つまらない仕事よりパチスロ中心の毎日を送っている。少し前までは“ぱちんこ”の現金機やハネモノを打ちパチスロを打つのは、モーニングサービス台がある時だけだったがハイエナという勝てる打ち方を知ってからはパチスロメインになっていく。

登場人物  02
作中表記 (本名)

カズキ(広田 一樹)


ツトムと同級生。かなり早くからパチンコ店に出入りしており、パチスロにおいてはツトムの師匠的存在。仲間内ではもっともパチンコに精通し、いち早く設定判別やハイエナなどを実践して結果を残している。高校生の終わり頃には、学校をサボって朝からパチンコ店の裏口にいきアステカなどの設定変更を直接盗み見るという荒技を使って勝ち続け、車を買って毎日外食という年齢にあわない豪勢な生活を送っていたこともある。

登場人物  03
作中表記 (本名)

ジュンコ(芦田 順子)


ツトムと付き合っている女性。同じ専門学校卒で、小さなデザイン事務所で働いている。面倒見はいいが、気が強く口調もきつい。しっかり者でお金に厳しいが、困っている様子を察すると、ついお金を貸してしまう甘さもある。料理が得意で、不摂生なツトムを気づかいよく作ってあげている。が、なぜか食欲がないことが多く残すのでタッパーとラップを駆使して冷蔵庫に押し込み、必ず食べきるように約束させてる。

登場人物  04
作中表記 (本名)

ヨシハル(山口 善治)


ツトムと同級生。高校卒業後、大学進学のため都内へいっていたが、卒業して地元に戻ってきた。典型的なただ大学にいっただけのやつだが、なんでもそつなくこなす器用さがある。在学中の仕送り生活の中で、とあるパチスロ台(大花火)を設定1でも割が100%だから大丈夫だ(保険外し使用)と打ち続けて大負けし、しばらくの間、ご飯にケッチャプという貧しい生活を強いられた経験があるようで、それを機にちゃんとパチスロに取り組み始めた。

登場人物  05
作中表記 (本名)

ユウジ(小森 祐二)


ツトムと同級生。お調子者のオーバーリアクションなやつ。カズキと共にかなり早い時期からパチンコに関わっていたが、行動に一貫性がなく、カズキのように上手く立ちまわれていないが、パチスロの知識は豊富。後にノリ打ちグループと呼ばれる集団に近づく。詳しい経緯は不明だが、例の設定変更を盗み見る行為がバレて使えなくなったのはユウジがヘマしたのが原因らしく、カズキには頭が上がらない。

登場人物  06
作中表記 (本名)

サトル(大益 悟)


ツトムと同級生。大柄な体格でパチンコ店の小さな席にいると非常に目立つ。パチンコの仕組み的なことにはいっさいの興味を示さないが、アラジン→ゴッド→吉宗→北斗→番長、そして大ヤマト→慶次→ガロ→ライダーMAXなどの旬な危ない台を誰に教わるでもなく打って負け続けている。ぱちんこ台の上皿に掌底をかまして玉をぶちまけたり、会員カードを真っ二つにしたり、スロット台のリール下辺りの金属板を一撃で凹ましたり、パチンコ店の自動販売機のサンプルをどうやったのかひっくり返したり、と腹いせ行動を時々している。

登場人物  07
作中表記 (本名)

(伊藤 雅子)


ツトムの母親。堅実な性格で、協調性や常識を大事にしているが、それに反発するような態度をとる息子と言い争うことも多い。

登場人物  08
作中表記 (本名)

工場長(忘れた)


ツトムが働くことになった会社の工場部門の責任者。色黒のおじさんで、『~してちょ』『~だども』など変わった話し方をする。非常に仕事熱心で、休日出勤やサービス残業などは当たり前だと思っている。若い頃は自衛隊にいたらしく、目上の者に対しては、大げさなほど背筋を伸ばし気をつけの姿勢をとる。

登場人物  09
作中表記 (本名)

インチキおじさん(知らない)


パチンコ店によくいるおじさん。隣にいると攻略法を親切に教えたりしてくれるが俗にいうオカルトであり、初心者が真に受けると大変な目にあう。キャバ嬢のぱちんこ台がお気に入りで、攻略(出玉とは関係ない嬢の口説き台詞パターン?)が書かれた紙をもって熱心に打っている。なお、非常によく似た風貌のおじさんがもう一人いて、日によってはどちらなのか判別がつかない。

目次(タップで各項目へ)↓
作品概要 / 登場人物 / 舞台背景 / 用語

– 舞台背景 –

舞台背景  01
作中表記 (略称など)

関東の片隅(いなか)


この作品の舞台は、2000年~2011年頃の北関東の片隅。街の様相はそれなりでも人も店も田舎臭が拭えない地域。住宅街から一歩出ると、田んぼが広がっている。都内とは異なり、電車やバスなどの交通機関が十分に機能しておらず、車での移動がメインになる。駅前以外の店は大きな駐車場を構え、コンビニに至っては店舗より駐車スペースの方が大きいとところがほとんど。高校はそれなりにあるが大学となると急に少なくなり、しかも、低ランクか高ランクという二極化になっているため平均的な学力レベルだと、大学は県外に――、という流れになっている。そういった背景と家庭の事情などから妥協して専門学校などに通うものが多い。

舞台背景  02
作中表記 (略称など)

パチンコ店 -1-(パチ屋)


全国津々浦々、どこにでもあるパチンコを提供する商業施設。地域ごとに微妙にルールが異なり、地域差が大きいが、大手チェーン店が主流になり、その差は小さくなりつつある。外観と内装は時代によって変化し、ネオン煌めくイメージは昭和の時代のパチンコ店で平成になってからは減少し、徐々に消えていった。

賭博が禁止されている日本国内で、俗にいう三競(競馬競輪競艇)以外の実質的な換金(客からすれば)ができる特殊な業種になっていて、常にその法的グレーさが言われ続ける中で、巨大な産業になり様々な波紋を呼んでいる。

法律内である要素として『賭博ではなく遊技を提供する場』になる。その前提から客の技術介入が必須になり、パチンコ台がカジノなどの機械と異なり、客が運(偶然)以外の“どうにかする余地”が残されることになる。そのどうにかする余地を巡って、店と客、台の製造メーカーと行政の駆け引きが続いていて、行き過ぎた状況になると規制が入り、それが繰り返されている。

また、パチンコで勝って生活する客たちが常に一定数いるような状況で、2000年頃から起こったパチスロブームの頃になると、当時不況だったことも重なり、多くのパチンコ生活者が生まれることになった。

舞台背景  03
作中表記 (略称など)

パチンコ店-2-(パチ屋)


作中の2000年頃の北関東付近のパチンコ店では、スロが6枚から6.5枚交換、玉2.5円から3円交換が主流だった。それが、2003から2005年頃の吉宗、北斗の拳の大流行になると、スロが5.5枚、玉が3.3円と地域全体が高交換率へと傾いていく。

作中外の2010年以降は、さらに高交換率になっていき、多くの店のスロが等価交換になっていく。玉は3.3~3.6円とあまり変化せず。さらにその後は、守られていなかった一物一価(要はスロと玉の交換割合を一緒にしろ?)のルール厳格化と、全国的な等価交換の禁止の流れで等価交換ではなくなるが、2018年頃からは消費税の影響からか47枚貸出で52枚交換という変則的な店が増えていく。

作中開始の2002年頃から4号機のブームに乗った新規にオープンする店が激増し、その後の5号機移行からの客足減に耐えられず多くは閉店していった。ツトムが通った店のほとんどは閉店していくが、これらの店舗は一時期その地域のトップにいたほど盛況な優良店だった。なまじ良い時がある優良店ほど、落ち目になったときの客の反応はシビアになり客足は遠のく。逆に元から期待されていないボッタ店が細々と地味に生き残っていくような光景がみられた。

2023年には、地域のパチ屋は半減し、大手か中堅グループチェーン以上がなんとか残っているのみで、スマスロに客をつけられない店舗は消えていくと予想されている。一方でカバネリを筆頭とする6.5号機に多くの若者たちが群がっている環境になり、かつての比ではないにしろプチブーム的な活気は感じられる環境になっている。

コロナ禍の余波、大増税、値上げラッシュ、上がらない賃金、何も変わらず宗教団体の影を払拭もできない政治不信など社会経済は低迷――、そんな将来に希望が持てない若者たちの前に盛況なパチ屋がある状況は、かつての状況に重なる。

舞台背景  04
作中表記 (略称など)

三笠工芸(みかさこうげい)


関東の片隅にある神仏関係の印刷物などを扱う小さな会社。ツトムが、専門学校の紹介で入社することになる。特に忙しくもないのに休日出勤あり、黒字なのにボーナスカット、残業代は明細なし、有給は買い取り(8千円)、など、求人票に書かれた待遇からは読み取れないものが多い。俗にいう普通のブラック企業。もっとも田舎の会社ではこれがスタンダードな待遇の会社であり、そこで働く社員たちもそんなものだと思っている。

下っ端社員には見ることすらかなわない会長なる人物以下、役員のほとんどが同じ名字という、典型的な同族会社であるが、苗字ではなく名前で呼ぶという社風(強制)により、巧妙にごまかされている。定時は午後5時。一応は鐘が鳴るが、それで帰れるのはパートのおばさまだけになる。

舞台背景  05
作中表記 (略称など)

ファミリーレストラン(ファミレス)


ツトムたちが入り浸ることになる。どこにでもあるファミレス。田舎で深夜に客が入らないせいか、深夜2時位でオーダーストップしてしまう。閉店後の夕食兼情報交換、朝の整理券取得後の時間つぶしなど、パチ屋が通いする者にとって何かとお世話になる場所。4号機バブル期以降のイベント乱立状況下では、高設定を狙う若い客たちの作戦会議の場として使われることが多かった。

舞台背景  06
作中表記 (略称など)

マンガ喫茶(マンキツ)


全国に普及する個室と軽食を提供する商業施設。マンガやゲーム、ネット環境が揃い、時間料金で個室が手に入ることから、その日の宿として利用されることも多い。そんな客を当て込んでなのか、深夜帯から朝方までの料金体系は安いことが多い。ソフトドリンクは料金に含まれ、それだけでなく、PCとネットも使い放題、トイレから携帯の充電もこなせるため、下手にアパートを借りるより安く快適になってしまう現状がある。

目次(タップで各項目へ)↓
作品概要 / 登場人物 / 舞台背景 / 用語

– 用語 –

用語  01
作中表記 (略称、読みなど)

パチンコ(ぱちんこ、パチ、玉、スロ)


銀玉を飛ばして遊ぶ遊技とその機械の総称だが、カタカナのパチンコはメダルを使うパチスロ(スロット)を含む全般を指し、玉のパチンコだけを指す場合は、ひらがなの“ぱちんこ”が使われることが多い。 (本文ではパチスロとは表記せず、スロットで統一。正確にはスロットはカジノなどで使われるマシンを指すが、ここでは会話文でスロと略したり、似た表記のパチンコとの混同を回避するためにスロットとしている)

庶民の娯楽としてあり続けているが、遊技人口の減少、機械台の高騰、客側の負担の増加、特殊景品交換にからむ問題などが山積し、国内では大規模な産業にあたるが、これ以上の成長の見込みが薄く斜陽と傾いている。

用語  02
作中表記 (略称、読みなど)

4号機(よんごうき)


パチスロの行政的区分のことで、今のところ1号機から5号機まである。(1号機以前は便宜的に0号機)4号機はリプレイ(再遊技)などを搭載し、違法改造機(裏物)が蔓延した3号機を駆逐するために移行されたと言われるが、結果的に裏物より起伏が荒いAT機、ストック機を生むことになる。

それまでパチンコ店の日陰的な存在であったパチスロをぱちんこと並ぶまでに押し上げて一大ブームを作るが、行き過ぎた射幸性を問題視され、より規定の厳しい5号機へと移行する。

用語  03
作中表記 (略称、読みなど)

爆裂機(問題)(ばくれつき)


AT機と呼ばれる瞬発性の高いパチスロが台頭し、それらが他とは一線を画すことから特別に爆裂機と呼ばれるようになっていた。爆裂機という台の明確な定義などは存在せず、何となく起伏の荒い台の総称になる。

爆裂機問題とは、行き過ぎた射幸性の指摘、監督庁の注意とそれを守らないメーカー、そしてメーカー側の自粛、特定台の撤去などに関わることらしいが、一般の客にとっては何のことかさっぱりわからない問題となっている。

特に槍玉に上がった御三家と呼ばれる3機種(ミリオンゴッド、アラジンA、サラリーマン金太郎)の撤去がおこなわれたが、一部の客からすると「サラ金は違くね?(他にあるだろ危ない台という意)」という声があり、その対応と客側の認識には温度差が見られた。

その撤去に関しても、地方だとかなりいい加減な対応になり、ずいぶんと長い期間に渡りミリオンゴッドが普通に置かれていた状況だった。

用語  04
作中表記 (略称、読みなど)

ハイエナ(行為)(はいえな)


パチンコで言うハイエナは『席をどいた後すぐに当てられてしまい悔しい思いをした』ことを指したりする感傷的な言葉だったが、パチスロにストック機が登場し、その設置比率が高くなる頃になると特定ゲーム数到達で強制的に当たる仕様(天井)というゲーム性から、それを知っている客が意図的に狙うようになり、ハイエナという言葉は有効性のある1つの打ち方を指すようになった。が、現在でも感傷的な意味と実利を含む意味がごっちゃになって使われている。

他にもカルガモ(時間で発表や示唆をする店員の後を親の後を無心でついてまわるコガモのような客の様から)、キリン(台を打ちながら背筋を伸ばしきょろきょろと辺りを見回す客のこと)、ゾウ(ひんぱんに隣の台に手を伸ばし目押しをしてあげる行為。だらんと伸ばした腕部がゾウの鼻のよう)、などある。

用語  05
作中表記 (略称、読みなど)

朝一(あさいち)


基本的に開店してすぐの状態を指すが、まだ1ゲームも回ってない台を指すこともある。まだ、始まったばかりの状況、まだ誰も触っていない台、これから何かが起こるかもしれないという可能性、なんとなく特別な感じするのかパチンコ打ちには神秘的なニュアンスを含む言葉となる。

用語  06
作中表記 (略称、読みなど)

リセット(リセ)


パチスロの設定変更を指す言葉。意味的には、同一設定への打ち直しを指す言葉だったようだが、設定変更すると連チャンモードに移行するような機種が増え、“設定が上がった(下がった)のか?”より“設定変更があったか?”が重要になる頃に広く使われるようになった。

用語  07
作中表記 (略称、読みなど)

ペナルティー(ペナ)


パチスロ(スロット)における抽選の冷遇措置のこと。 AT機などは決められた押し順を守らないと、これを受ける仕様になっている。AT機は、常に高確率で15枚を成立させており、それを左第一停止以外に振り分けることで取得しにくくさせている。つまり、押し順を自由にさせてしまうと、通常時のベース(コイン持ち)が上がってしまい設計が崩れてしまうので、それをさせない措置となる。(他にも仕様は色々あるので、これはよくある4号機AT機の場合)

とあるイベント(朝一から777ハマったら設定6プレゼント)でカズキは、これを確実にするべく、AT機を選び、当たらないように永延と変則押ししてペナルティー状態で打ち続けた。そして店員に注意され、ごねたら最後は事務所に連れていかれてしまう。

用語  08
作中表記 (略称、読みなど)

天井とゾーン(てんじょう、ぞーん)


主にパチスロ(スロット)にある機能のこと。天井とは特定ゲーム数で当たりとなるような仕様の総称。ゾーンとは、仕様的に期待度の高い区間を指すこと多い。一般的な天井とは深いハマリに対する救済措置でのボーナスorAT(ART)当選を指すが、台によっては天井到達後からは抽選が優遇されるだけ、押し順ナビが出るようになりコイン持ちがアップしたりと様々なタイプがある。ゾーンも同様。これだけを目的に打つことを、ハイエナ(行為)という。

用語  09
作中表記 (略称、読みなど)

パッキーカード(パッキー)


パッキーカードとは、ぱちんこで玉を借りる際に使うプリペイドカードのこと。現金機。同じぱちんこでも、現金で直接玉貸しができる現金機などがあり、なぜこのカードを使うのか客のほとんどはわからず使っている。

CR機導入に際し、規制緩和の条件のためで導入されたらしいが、どこかの利権に関わるものかつ、その運用もずさんで、このパッキーカードシステムを悪用した犯罪も多くあったとされる。

用語  10
作中表記 (略称、読みなど)

遠隔(えんかく)


店が行う不正行為の総称。事務所などの遠方から台を操作するところからこう呼ばれて始めたらしい。

客からすると“当たらないように細工した”とされるものだが、実際に行われた遠隔は、必ずしも当たらないように仕向けるものではなく、むしろすぐに当てさせたり、見栄えの悪い大ハマリ台を作らないようしたり、出過ぎ出なすぎを調節するために使われた場合の方が多いとされる。

客は大ハマリするとすぐにこの言葉を口にするが、まず関係ない。だが、すぐにこれが噂になり広まるので、店としては遠隔疑惑からの客足減を避けるため、遠隔に手を出す店があったとかなかったとか……。

用語  11
作中表記 (略称、読みなど)

裏物(うらもの、うら)


正規の仕様ではないパチンコ台のこと。主に改造を受けて、不正遊技機と化したものを指す。これに対し正規の台を、純正などと言ったりしていた。

遠隔(操作)と裏物は同じように語られることが多い。裏物が台自体で完結した抽選に対し、遠隔は外部からの影響という違いがあるが、どちらによるものか?の正確な判別などできないから、その線引きは難しい。

2000年前半頃までは、客に裏物だとはっきり認識され店側も堂々と置いていた。店舗ごと地域ごとに異なる仕様の同じ機種が多く存在している。

また、客が裏物だと思っていたのが実は純正台で、逆に純正台だと思っていたのが裏物だったということは多くあったはず。セキュリティ技術の向上、大手チェーン化が進む中での連帯罰則の強化などで、2012年頃にはほぼ絶滅している――、気がする。

用語  12
作中表記 (略称、読みなど)

Xデー(えっくすでー)


4号機が全て撤去される日のこと。地域と機種によって異なるが、北関東の辺りだと、俺の空、イミソーレ、番長が最後まで残った4号機になり、それが2007年6月後半だった。1年前から5号機は入っていたが、この日を境に完全に5号機時代に移行する。実際には、このXデーは新装入れ替えのための定休日をまたぐため、予告された日より数日早く来ることが多かった。

作中では盛大なサヨナライベントが行われ、全7日間に渡り全台に設定5.6が入る公約で最終日をもってXデーとなるはずだった。が、店側の策略によりイベントは途中の5日目で打ち切られ、公約はなかったことになり騙された客たちが奏でる阿鼻叫喚の現場となった。

特にイベントの3、4日目に設定狙いをしてしまった客たちからすれば、公約が嘘だったことは大きな裏切りであり、期間内に設定が必ず入るからこそ打った、打っても期待値がある、これを逃したもう4号機は打てないと理由付けしたパチスロ打ちの心理を完全に利用された最後の大回収イベントだった。

なお、このエピソードは実話である。この店は、その後10年近く生き残り、6号機移行まで耐えるが限界を迎えスマスロの登場を待つことなくグループごと消えていった。

作品の1話目→1G目:終わりの鐘

作品の全話→作品MAP

他の長編作品→ 仮想追従/1話 つけっぱなしのあのゲーム

他の作品の一覧→ 作品一覧

※ここで扱われる内容は、あくまで創作物用のものです。現実の事実とは異なります。ただし、創作物の質を上げるためのより精度の高い情報があると指摘があれば訂正・修正いたします。その他の誤字脱字など見かけましたらコメント欄を利用しお知らせください。

(現在地:作品設定 -社会ふ適合-【設定etc】)

作品の一覧 / 修正履歴 / ブログ /

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA