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2002年頃、不景気の中で起こった空前のパチスロブーム。そんなご時世に学校を卒業し新社会人となった若者は、もっぱら仕事帰りのパチスロに勤しんでいた――。

長編小説 / 社会ふ適合

1話目 | 設定 | MAP | 公開-2025/3/17

16G目:不協和音

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「早くどかねーかな、あれ」

カズキが誰にいうでもなくこぼす。

「なに? スイカが落ちてんの?」

打ちながら隣の空き台に座って暇そうにしているカズキのムダ話に付き合う。ぼけっとしているようで後ろにある島の様子はしっかり見ているようだ。

「ただハマってるだけ。つーか、おっさんのスイカ確率はあてになんねーし」

空きイスの背もたれを前にして退屈そうだ。まだ昼前だとうのにやる台がないのだろう。

「そういやヨシハルみないね。どっか違う店行ってんの?」

打ちながら聞いてみる。

「最近、パチンコ自体やってねーみてー」

イスを左右に揺すりながらいう。

「そーなんだ。ユウジとダイスケは?」

「しんねー。そこらでテキトーにやってんじゃん」

興味なさそうにいうカズキ。

「こないだダイスケに2万貸したんだけどさー。勝ってんの?」

「微妙じゃん。あいつテキトーにやり過ぎなんだよ」

「ダイスケはなんか北斗が高設定かもしんねーとかいってたね」

「もう北斗に設定なんて入ってねーから」

そうカズキは吐き捨てる。

「結局、最後はジャクラーやって勝ったとかいってたし」

「よくそんなんで勝てるよなー」

最近のあの2人は目に余る立ち回りをしている。可能性にかけているといえば聞こえはいいが少しのチャンスにホイホイ飛びついては痛い目にあって文句をいっている姿が目についた。

「あー、もっかい見てくっかー」

気だるそうにカズキは他の島に消えていった。

カズキもいなくなり自分の台に集中する。最近は人気のないこの5号機ばかり打っている。

3000ゲームを越えた時点でベルとスイカ確率は良好だ。ボーナスはそれなりといった感じだが前日が高設定であることを考えれば据え置きだろう。

一応は子役のカウントは続けるが、あとはただひたすら回すだけだ。

当初は出来の悪さにうんざりしたものだが最近になってそれが変わってきた。特に演出発生時に中リール、下段黄色7をビタ押しする『中リール下段黄7ビタ狙い』の打ち方を覚えてからは、楽しさを覚えるくらいだ。それにボーナス成立後のベル子役のフォローというちょっとした攻略要素もある。

これは5号機になって変更された子役の優先順位の変化から生まれた新しい攻略法だ。

ボーナス成立後にもリプレイやベルなどの子役は抽選されている。4号機であればボーナス成立状態でリプレイ以外の払い出しのある子役が当選するとボーナスよりその子役を優先していた。しかし5号機の優先順位はリプレイ、ボーナス、その他の順になり、ボーナス成立後にベルが当選してもボーナスが優先されることになる。

狙ったボーナスが揃えば気付かずにすむことだが、ボーナスを狙ったが揃わなかった場合に本来取りこぼすことのないベルを取れないことが出てくる。それらを可能な限り取る特別な狙い方がベルフォロー手順と呼ばれるものだ。

そんなに難しいものではなく、単純にボーナス絵柄とベルが同時に引き込める位置を狙ってリールの滑りや停止位置からベルの成立を見極められれば成功。

もともとのベル確率と払い出し枚数が高い台なので終日レベルでみれば結構な効果になるだろう。ただ打つだけになりがちな台でもこうした効果のある手順があれば話は変わってくる。

とはいえ毎ゲームするのは面倒だし演出がなければほぼレア役はないので演出なし時はフリー打ちで労力軽減をしている。困るのは細かな液晶変化演出と第3停止の予告音でたまにスイカを取りこぼすことぐらいだが、これは必要経費として割り切った。

結果の方も順調だが大勝ちが少ないので印象としてはあまり勝てていない感じになる。この台が不人気なのもこのイメージがあるからかもしれない。

確かに運による大勝ちは難いかもしれないが高設定なら日に5000枚程度出ることも普通にある。結局のところ出る量的にはそう変わらないが、それにかかる時間が大きく違うことで不評をくらっているのだろう。

それにこの台は今では珍しくなったRTを搭載している。

RTとはリプレイタイムことで、その区間はリプレイ確率が大幅に上がり他の払い出しのある子役も含めればメダルが少しずつ増えていくようになる。

これがバケの後に必ずつく。バケの枚数は100枚程度と他の4号機とほぼ同じだが、このRT分の消化ゲーム数と増えるメダルの量を含めるとビッグに匹敵するものになる。

つまりはバケに偏って大負けするということがないのだ。ビッグとバケの振り分けに泣かされることがなくなり純粋にボーナスを喜ぶことができる。

それとは別にバケ後のRTは消化していて楽しい。演出などは変わらないが、メダルを増やしながら消化できるので、さながらぱちんこの時短中みたいな感じだ。

「これ勝てんの?」

どこからか現れたユウジ。その言い方は上から目線だ。

「時間つぶしにはなるかな」

そう適当にいっておく。

「もう鬼浜はもう出た?」

ユウジが聞いてくる。出た、とは高設定台が判明したどうかの意味だ。

「いや、見てないからわかんない」

ある程度の予想はついていたが、とぼけてやり過ごす。

「そっか、じゃあね」

ユウジはそういって足早に去っていった。

最近のユウジはノリ打ちグループに近づいて情報をやり取りしている。ここで親切にも状況などを教えれば、そのままノリ打ちグループの耳に入ることになるだろう。

ユウジは情報を出すことで、その見返りに余った台を譲ってもらったり違う情報をもらったりしているようだ。協力関係のようだが、どちらかと言うと使いっ走りの手先だろう。そんな奴に教えることは何もない。

ユウジは空気が読めないので、そうした状況をこちらがわかっていないと思っているのだろう。だから現れると周りの情報を恥ずかしげもなく聞いてくる。

そこで長めに世間話でもするなりすればいいのに情報がないとわかると即座にその場を離れるような露骨な態度をするからバレバレを通り越して相手にしてもらえないのだ。

どうせノリ打ちグループでもいいように煽てられて使われているのが関の山だろう。当の本人はエージェント気取りで優越感に浸っているようだ。

そんなユウジのバカは別にしてもノリ打ちグループたちの影響力は強い。

朝の台確保、昼以降の消去法的になってくる高設定取りは人数がいるぶんに彼らの方が優位だ。普通に考えれば太刀打ちできないが個人の能力が高くないことが唯一の救いだろう。

 

夜まで打ちきってカズキとファミレスへむかった。

ダイスケとユウジは閉店のときにいなかった。どこかの店に移ったのだろう。

「今日危なかった。6万使ったし」

おしぼりで手をふきながらカズキはいう。

「いくら負けたの?」

「いや、1万勝った」

「なんだよ。戻したのかよ」

「ああ、番長6が空いたんだ」

「あのノリの奴らが打ってたんじゃなかったけ?」

「あいつら4万ぐらいでヘタれてやめんだもん。だったら最初からやんなよ」

カズキのイラつきもわかる。たいした腕もないのに荒らすだけ荒らしていくようなやり方だからだ。

それだけでなくマナーの悪さが目立つ。特に台の先取り、長時間のキープで素行の悪さがエスカレートしている。朝一に有力な島をすべてグループで埋めてしまうようなやり方も珍しくはなくなった。

「エヴァ勝ってる? 5だろ」

カズキのいうエヴァとはあの5号機のことだ。最近はこればかり打っている。望んでというよりはノリ打ち対策の側面が強い。

「まー、なんとか。勝ってる気はしないけど」

「5の割いくつだっけ? 7%?」

「雑誌だと106ちょいだけど、ロスを入れると実質105%くらいじゃない」

「105%かー」

カズキは確認するようにいう。

「まあ、番長の6よりは安定するしいいかな」

「マジで番長はキツイ。本当に7%あんのかよ」

「やんなきゃいいのに」

「だって他になくねー?」

眉間にシワを寄せて絡むようにカズキはいう。

「確かに最近は厳しいかも」

ノリ打ち集団の台頭だけでなく一般客の知識浸透からハマリ台が減っている。なにより機種そのものが使えないという問題が顔を出し始めていた。

カズキの電話が鳴る。

「はいよ。あー、わかった。奥にいっから」

気だるそうに話すカズキ。なんとなく誰だか予想がついた。

「ヨシハルくるってよ」

そうカズキがいうとほどなくヨシハルは現れた。顔を見たのはひさしぶりな気がする。

「最近こねーで何やってんだよ」

現れたヨシハルにカズキがツッコむ。

「いやー、就活してんだよー」

さも大変そうにいうが、その顔はニヤけている。

「マジかよ?」

カズキは軽く驚く。

「25にもなって無職ってやべーから」

そうヨシハルは笑っていった。

「まー、もうすぐ4号機なくなるしなー」

カズキはストローで氷をつつきながらいう。

「まだ結構さきでしょ。新台とか出てるし」

「いや、もう検定は終わってんじゃなかったっけ。今から出るやつってもう通してあるやつだろ」

「そうなんだ」

「だから、こっからは少なくなってくんじゃねーの」

そうカズキはいう。確かに隔週ペースで入った新台入れ替えはなくった。入る予定の機種も多くあるが大量導入とはいかないレベルの台ばかりだ。

「最近どう? 勝ってんの?」

ヨシハルはメニューを見ながらいう。デザートでも頼むのだろう。

「あー、微妙」

「別にやれないことはないんだけど、ノリの奴らがいっからねー」

「ああ、やっぱキツイのかー。もう潮時なんじゃねー? おめーらも働けよ」

そう茶化すヨシハル。

「そういうのは決まってから言えよ」

カズキがきつく返す。

「ストック機なくなったら終わりだよ」

ヨシハルがもっともらしく呟いた。

 

翌日も同じように朝の列に加わる。

例のノリ打ち組が前の方にいるが、そこにユウジも混じっている。どうせ昨日の夜から飲んで、そのままの勢いで並んだのだろう。

8時50分になったが店員が出てこない。

いつもならばこの時間になると店員が出てきて早めの入場をさせるのだが、今日はそれがない。列の前の方の常連たちもそれに気づいて少しざわついているようだ。

ちょうど9時になると店員が現れ入場が始まった。

すでに開店を知らせるやかましい音楽が流れる中で台取りにむかう。狙うは中年警部の台の前日921ハマリ台だ。

なんとか目当ての台を確保し一応は見回りにでた。

今日のイベントコーナーは案の定にノリ打ちグループで埋め尽くされている。すぐに打たずに通路で会議なのか雑談なのか大人数でたむろしている。

番長の島に入るとカズキがいる。朝の並びにはいなかったが開店ちょうど位には来ていたのだろう。

「また、これやんの?」

「あー、やりたくねーけど、これしか台ねーし」

まだ眠たそうなカズキ。寝ぐせがついたままだ。

やりたくないとボヤながら、また番長に座るカズキ。朝の並びに参加しなかった時点でイベントコーナーも前日のハマリ台も取れないので仕方ないのかもしれない。

席に戻って打ち始める。

前日が900を越えているのでリセットされていても当日の560付近でそれが確定するのでヤメ時に困ることはないはずだ。朝から2万負けになるが、それが最悪の上限になるので気は楽だ。

そんなことを考えるとチェリーから前兆に入った。

別によくあることだがチェリーを引いた時に演出が強かったので今回の前兆は本物かもしれない。

そう期待しながら打ち進めていくと連続演出を経由しボーナス確定となった。しかも最終ゲームで下段バーからのプラムハズレ目というビッグ確定のリーチ目だ。

珍しい。早いゲーム数でのチェリー解除など低設定ではなかなかお目にかからないものだ。高設定狙いならば幸先の良い展開だが今回は単純に運が良かったと捉えるのが正解だろう。

そもそも、この島にノリ打ちグループがいないのは設定が入っていることが少ないからだ。島の位置的にも奥側で見栄えの関係からかあまり力の入っていない感じにみえる。

幸運で得たビッグを消化し、本機の目玉機能である3ゲーム連に期待をはせるが残念ながら外れた。

即ヤメしようと一応は前兆中でないことを確認するために数ゲーム回しているとチェリーを引いてしまった。

――間が悪い。これでもう数ゲームは回すハメになってしまった。

前兆にならないならすぐにヤメようと思ったがリール停止後に色っぽいおねーさんの『また会ったわね』演出が発生し、そうもいかなくなった。フェイクの可能性の方が高いが、ここは諦めて回すしかない。

ところが、その途中で小役ナビ矛盾というレアな演出でボーナスがあっさりと確定する。変わった当たり方だったのでゲーム数解除の可能性も考えたが、たぶんチェリー解除だろう。

チェリー解除が立て続けに起こる――、偶然にしては気になる挙動だ。

チェリー解除は設定差の大きい部分であり設定推測の要だ。それが連続したということは単純に高設定の可能性を考えてしまう。

だが、この島は期待できないからこそ客がいないわけで単純に低設定のまぐれと考える方が普通だろう。

しかし、捨てるには妙に引っかかる。

気持ちを落ち着けるためにいったん席を立って見回りにでた。

番長の島に入るとカズキが目に入った。朝いた場所とは違う台にいる。移動したようだ。

「据え置きじゃなかったの?」

カズキが移動しているということは、何かあったのだろう。

「あー、なんかリセットかかってた」

「んで、なんで隣に移ったの?」

「いや、この台だけ純ハズレっぽい当たり方だったからやってる」

そうカズキはいう。口ぶりからしてあまり期待はしていないようだ。

「他の台も見てっけど全リセかもしんねー」

鋭い目でいうカズキ。不確定なことを言いたがらないカズキがいうからには、それなりの確証があるのだろう。

「番長の全リセか。珍しい」

「さっきチラッと見てきたけど、他もかもな」

カズキの言った通り他の島を覗くといつもと違う雰囲気だ。特にイベントコーナーにいるノリ打ちグループたちが話し込んだりしていて落ち着きが無い。いつもと違う勝手に混乱しているようにみえた。

一通り見回ってから席に戻った。

状況を察するに何かの隠れイベントの可能性もある。だとすれば、この台のチェリー解除も素直に設定によるものと考えるべきかもしれない。打ち進めて様子をみることにした。

ここからは設定推測の精度を高めるべく同じ島の挙動にも注意して打ち進める。とりあえずは128以内にゲーム数解除があったチェリーは解除抽選をしないことが確定するので省いてカウントし精度を上げていく。

「マジありえねーんだけど!」

突然隣に現れて大声を出す奴がきた。ダイスケだ。

「なに? 高設定が低設定にでもなったの?」

そう茶化してみる。

「いやさー、さっきいい台あったから取ろうと思って――」

熱っぽく状況説明に入るダイスケだが、この時点である程度予想がついた。

「んでさー、次に狙ったやつも、いきなりタバコ投げられて取られるし、マジありえねーから」

イラつきながら話を続けるダイスケだが、ようするに取りたかった台を直前で取られたと言いたいらしい。よくあることだが相手はノリ打ちグループだろう。

「しゃーないね。今はなにやってんの?」

「あー、後ろの鬼浜やろうと思ってんだけど……、金貸してくんない?」

「またー?」

「だって朝から3万とか使わされて手持ちがなくてさ」

そう臆面もなくいうダイスケ。だが時間を考えれば3万ではなく1万5千円くらいだろう。しかたなく2万円ほど貸すことになった。頭が痛くなる。

もともとダイスケは金使いの荒い方だが最近では特にひどい。色々な台を打ち散らかすようなことをしているからだ。ダイスケからすれば可能性を追っているというのだろうが、傍目からみたら片っ端から台を触って低設定かどうか調べているように見えなくもない。

少し前までは、それでも上手くいったのかもしれないが台のスペックは下がり客も店も力の入れようが悪くなった。

それにノリ打ちグループが幅を利かせる中では何か対策が必要になるだろう。今いる客は多かれ少なかれそれをしていて、あのユウジでさえノリ打ちグループに近づくということをしている。なのにダイスケだけは、いつも行き当たりばったの運任せの立ち回りだ。

鼻息荒く打っているダイスケを背に淡々と打ち進めていく。

その後は特に問題ない挙動で昼過ぎには設定5以上の確信が持て、途中でヤメようと思うようなハマリやバケ連もなく順調にメダルが増えていった。
 

21時を過ぎ、そろそろヤメの算段をし始める。

単純に21時30分を過ぎた時点で連チャンゾーンである181ゲームを越えたらヤメるのが無難だろう。最後に引いたボーナスからの連チャンゾーンを消化し終えると40分になった。ちょうど切りよくヤメられるタイミングだ。

いつもなら21時前後のメールがくるはずが今日はきていない。

そのメールには今日の高設定の台番が書かれる。それを利用して答え合わせや明日の台選びの参考にする重要なものだ。自分の台が高設定である自信はあるが発表がないのは気持ち悪い。

席を立って通路にでると人だかりができていた。

なんだと思って近寄ってみると小さな看板が設置してある。よく見ると番号が書かれていて、すぐに何であるか気づいた。

今日の高設定の台番。メールがこないと思ったら、ここで告知していたようだ。自分の台番もちゃんと書かれているので間違いないだろう。

メダルを流して帰る前にトイレにむかう。その途中でカズキを見つけた。

「飯食いいく?」

「いやー、帰るわ……」

カズキは真っ青な顔をしている。もともと血色はいい方ではないが、あきらかに悪い。

「なんだよ、具合わりーの?」

「13万も負けたら、飯どころじゃねーよ」

今にも吐きそうな表情で淡々と話すカズキ。

「13万? 番長だけで?」

「そう……。バケしか当たんねー」

今にも死にそうな声でカズキがこぼす。それだけ負ければ金額だけでなく精神的なダメージも相当なものだろう。

「帰るわ」

カズキは力なく言う。去りゆくその背中は小さく見えた。

13万円とはひどい大負けだが打った台は高設定だったのだろう。低設定であればそんなに粘り切れないからだ。悲しいことに勝てるはずの高設定の方が1日単位の負け額が上になってしまう。

高設定の機械割が116%を上回るスペックなら、そういった大負けはほとんどなくなるが最近になって出た機種のスペックは下がってきていて、こうしたことがよく起こるようになっていた。

特に今日はいつもと勝手が違う。リセットのかかり具合から昨日までとは違う意図が働いてるのを感じる。

店を出ようとカウンター前を通って自動ドアにむかう。

「本日のご来店、誠にありがとうございました。また明日のご来店を心待ちにしております――」

威勢よく声を出す店長とおぼしき男性が女性従業員2人を従え見送りをしている。昨日までなかった光景だ。

よく見ると、『アミューズメント施設としての生まれ変わった』、『行き届いたサービスを』などと書かれたポスターがそこかしこに貼られている。

どうやら今日はちょっとしたリニューアルだったらしい。たぶん店長が変わったか幹部からの喝でも入ったのだろう。朝の入場が遅かったのもこれのせいかもしれない。

そうなると明日以降は今まで通りにはいかない。今日はたまたま上手くいったが、どんな風にやり方が変わったか様子をみる必要がでてきた。変わったのなら、それに合わせていくしない。

店も苦しいのだ。一時期ほどの客が集まらず売上げが減ってきている。そして4号機の終わりが待っている中で危機感があるのだろう。

続々と店から出てくるお客に、『またのご来店を』を繰り返す声がいつまでも聞こえていた。

2006年3月21日 +8000円
24日 +74000円

#15←前話・次話→17G目:頭痛

(現在地:社会ふ適合/16G目:不協和音)

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